フランチャイズ

フランチャイズ契約書の重要事項②【franchise #13】

はじめに

(この記事は2021年5月31日に作成されたものです。)

前回(フランチャイズ契約書の重要事項①【franchise #12】)に引き続き、フランチャイズ契約書を締結する際に、特にチェックするべき重要事項について、説明します。

テリトリー権

本部から指定された営業地域において独占的に営業することができる権利を「テリトリー権」といいます。

テリトリー権の有無及び内容は、中小小売商業振興法の法定開示書面の記載事項ですので、中小小売商業振興法11条1項の「特定連鎖化事業」に該当するフランチャイズ事業を展開している本部は、これを法定開示書面に記載する必要があります。

また、フランチャイズ・ガイドラインにおいても、「独占禁止法違反行為の未然防止の観点からも,加盟希望者の適正な判断に資するよう本部の加盟者の募集に当たり,次のような事項について開示が的確に実施されることが望ましい」として、「加盟後,加盟者の店舗の周辺の地域に,同一又はそれに類似した業種を営む店舗を本部が自ら営業すること又は他の加盟者に営業させること(以下「ドミナント出店」という。)ができるか否かに関する契約上の条項の有無及びその内容並びにこのような営業が実施される計画の有無及びその内容」(要するに、テリトリー権の有無及び内容)が挙げられています。

したがって、本部としては、「特定連鎖化事業」に該当するか否かにかかわらず、フランチャイズ事業を展開している本部であっても、テリトリー権の有無及び内容を、フランチャイズ契約書において明確に規定しておくことが望まれます。

その際には、特に以下の点を明確にした規定にしましょう。

  • テリトリー権の有無
  • テリトリー権の内容
    • テリトリーの範囲(直線距離で特定するよりは、地図で特定する方が疑義が生じません。)
    • 営業権の内容(店舗の出店が制限されるのか、販売促進活動が制限されるのか、例外はないのか等)
    • 営業権の期間(契約後1年間といった制限を設ける場合もあります。)

売上保証と同じく、加盟者としては、セールストークの可能性がありますので、本部の担当者の口頭の説明のみを鵜呑みすることは避けるべきです。加盟者においても、以上の点を中心に、テリトリー権の有無及び内容に関する条項が法定開示書面やフランチャイズ契約書においてどのように記載されているのかを必ず確認しましょう。

なお、厳密にはテリトリー権ではありませんが、本部が加盟者に対して加盟者の店舗の近隣に出店する際に一定の配慮を約束したか否かが問題となることがあります。

配慮の内容としては、様々なものが考えられ、新店舗の出店を計画した段階で加盟者に当該新店舗のフランチャイジーとなることを優先的に打診する(加盟者が拒否すれば、第三者が加盟者となる)というものから、事前に通知をするというものまであります。

これらについては、フランチャイズ契約書に規定がなければ原則として認められるものではありませんが、本部の担当者が明確に約束し、それが証拠に残っているような場合は、例外的に認められることもありますので、本部としては、担当者がセールストークの一環としてこのような約束をしないように注意する必要があります。

また、加盟者においても、セールストークの可能性がありますので、本部の担当者の口頭の説明のみを鵜呑みすることは避けるべきであり、担当者が約束をしたにもかかわらず、フランチャイズ契約書に規定がなければ、本部に確認等することが必要です。

競業避止義務

フランチャイズ契約において、本部が、フランチャイジー加盟者に対し、契約期間中及び契約終了後一定期間、一定の場所において、同種又は類似の事業を営んではならないとの義務(以下「競業避止義務」といいます。)を課すことが多いです。

この競業避止義務は、どのような期間、場所の範囲、事業の範囲であっても、フランチャイズ契約において規定さえすれば、常に有効となるものではなく、本部の営業秘密の保護と顧客・商圏の確保といった合理的な目的を超えて加盟者の営業の自由を不当に制限するものは、公序良俗に反して無効となると解されています。

そして、フランチャイズ契約終了後の競業避止義務条項の有効性は、禁止する目的に比して、禁止される業務の範囲、禁止される期間、禁止される場所等が過大なものでないかが検討されます。

したがって、フランチャイズ契約書においては、これらの点を明確にするとともに、その内容が適切なものである必要があります。

  • 競業避止義務の有無
  • 競業避止義務の内容
    • 禁止される事業
    • 禁止される場所
    • 禁止される期間(特に、期間の開始時期が、契約終了時であるのか、店舗閉鎖時であるのか等)
  • 違反した場合の違約金の有無
  • 違反した場合の違約金の内容

加盟者においても、以上の点を中心に、競業避止義務の有無及び内容に関する条項がフランチャイズ契約書においてどのように記載されているのかを必ず確認しましょう。

競業避止義務の有効性に関連して、特に問題となりやすい、禁止される場所と違約金の内容について、以下、若干のコメントを付します。

禁止される期間

フランチャイズ契約において、競業避止義務が課される平均的な期間は、契約終了後2年間とされていますが(経済産業省「フランチャイズ・チェーン事業経営実態調査報告書」28頁(平成20年3月))、これはあくまでも平均であり、2年以上であれば無効となるわけではありません。

現に、従前より、フランチャイズ契約終了後5年間の競業避止義務を有効とした裁判例も存在していたなかで(大阪地判平成22年5月27日判時2088号103頁)、以上の裁判例も、フランチャイズ契約終了後5年間の競業避止義務を有効としました。

前述のとおり、競業避止義務条項の有効性は、禁止される期間のみで決まるわけではありませんが、フランチャイズ契約終了後5年間は、感覚としては限界ラインと考えられるのではないかと思います。

また、禁止される期間の起算点についても、フランチャイズ契約の終了の日の翌日とするのか、競業避止義務違反行為の終了時とするのか(競業避止義務違反行為をしている間は期間が経過しないようにするのか)を決めておく必要があります。

なお、後者(競業避止義務違反行為の終了時)とした場合でも競業避止義務条項が有効であるとされた事例として、東京地判令和元年11月28日2019WLJPCA11288023があり、後者であることを明文化していなかった場合に、起算点が前者(フランチャイズ契約の終了の日の翌日)であると認定された事例として、東京地判令和3年1月25日2021WLJPCA01258002があります。

違約金の内容

適正な違約金額を超える部分については、公序良俗に反して無効と解されています。

しかし、裁判例においても、「競業避止義務に違反した場合の一般的な違約金額や本件に現れた一切の事情を総合考慮すると,適正な違約金額は,ロイヤリティ平均月額の30か月分と解するのが相当である。」と判示されるなど(東京地判令和元年11月28日2019WLJPCA11288023)、適正な違約金額に決まった算出式はありません。

もっとも、裁判例では、「ロイヤリティ平均月額の30か月分」の範囲で違約金を認めるものが相当数ありますので(東京地判平成6年1月12日判タ860号198頁等)、裁判所において「ロイヤリティ平均月額の30か月分」が一つの基準となっているのかもしれません。ただし、その倍の60か月分のロイヤリティの違約金を認めた裁判例(大阪地判昭和61年10月8日判タ646号150頁)もありますので、あくまでも目安に過ぎないことは注意が必要です。

おわりに

次回は、契約上の地位の譲渡以下の重要事項について解説します。