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「ファミマ、外国人従業員の労務管理ソフト導入」【news #3】

「ファミマ、外国人従業員の労務管理ソフト導入」

(この記事は2021年5月18日に作成されたものです。)

2021年5月17日付けの日本経済新聞の記事で、ファミリーマートが外国人従業員の労務管理ソフトを導入するとの記事を目にしました。

ファミリーマートは外国人従業員の採用や労務管理に役立つアプリを導入する。コンビニエンスストア業界では人手不足を背景に、外国人従業員の採用が広がっている。身分証の偽造を見抜いたり、期限が近づくと通知したりする機能を備える。コンビニでの就労可能時間の判定も可能だ。不法就労を防ぐとともに店長業務の負担を軽減する。

人事関連のIT(情報技術)スタートアップのタブソリューション(東京・新宿)が開発した「ロムテン」を17日から順次導入する。まず直営店で導入したうえで、フランチャイズチェーン(FC)加盟店にも利用を推奨する。

日本経済新聞「ファミマ、外国人従業員の労務管理ソフト導入」(2021年5月17日)

この記事にかかれているとおり、導入される労務管理ソフトにより、外国人従業員の身分証が偽造されていないか、期限を経過していないか、就労可能時間を経過していないか、などの判定が可能になるとのことです。

コンビニエンスストアでは、外国人留学生をアルバイトとして採用することが多いので、その際の留意点として、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)の規定を整理したいと思います。

外国人留学生のアルバイト採用の留意点

資格外許可の確認

入管法19条1項は、在留中の「活動の範囲」として、以下のとおり規定しています。

別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。

(中略)

 別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動

出入国管理及び難民認定法19条1項

そして、「留学」の在留資格については、入管法の別表第一の四に、以下のとおり記載されています。

本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動

出入国管理及び難民認定法別表第一の四

以上より、外国人留学生がアルバイトをすることは、入管法19条1項2号に該当し、原則として禁止されていることになります。

もっとも、この原則には例外があり、それが「次項の許可を受けて行う場合を除き」という部分です。

この「次項」である入管法19条2項は、以下のとおり規定しています。

「出入国在留管理庁長官は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、出入国在留管理庁長官は、当該許可に必要な条件を付することができる。」

出入国管理及び難民認定法19条2項

外国人留学生がアルバイトをする場合には、この資格外許可が必要ですので、アルバイトとして雇用する場合には、きちんと資格外許可を取得していることを確認する必要があることになります。

就労可能時間

入管法19条2項の資格外許可は、あくまでも、「当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内」でアルバイトをすることを認めたものです。

この「範囲内」か否かについて、入管法施行規則19条5項は、以下のとおり規定しています。

 法第十九条第二項の規定により条件を付して新たに許可する活動の内容は、次の各号のいずれかによるものとする。

 一週について二十八時間以内(留学の在留資格をもつて在留する者については、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの又は同条第七項に規定する無店舗型性風俗特殊営業、同条第八項に規定する映像送信型性風俗特殊営業、同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事するものを除き、留学の在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る。)

(以下略)

出入国管理及び難民認定法施行規則19条5項

以上より、外国人留学生の就労可能時間は、以下のとおりとなります。

  • 原則として、1週間で28時間
  • 例外として、長期休業期間は、1日で8時間

また、ここでの留意点としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 1週間で28時間以内とすることは、特定の曜日から開始した1週間(例:日曜日から土曜日)で満たせばよいものではなく、どの1週間を切り取っても28時間以内である必要があること
  • 外国人留学生がアルバイトの掛け持ちをした場合でも、その全ての労働時間が、就労可能時間以内に収まっている必要があること
  • 例外の「長期休業期間」は、あくまでも「在籍する教育機関が学則で定める」ものである必要があり、たまたま長期間休業した場合は含まれないこと

不法就労活動をさせた場合の罰則

なお、以上の規定に違反し、外国人留学生に不法就労活動をさせた場合の罰則については、入管法73条の2第1項が、以下のとおり規定しています。

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

(以下略)

おわりに

ファミリーマートが外国人従業員の労務管理ソフトを導入するとの記事を目にしましたので、外国人留学生をアルバイトとして採用する際の留意点として、入管法の規定を整理しました。